TOP結果と病気との関連性脳が萎縮していたら、将来認知症になるのでしょうか。
最終更新日 : 2023/04/04

脳が萎縮していたら、将来認知症になるのでしょうか。

「高齢期の萎縮」とアルツハイマー型認知症には相関があります。「若年期・中年期の萎縮」と将来の認知症リスクの相関については未解明ですが、若年期・中年期から脳の萎縮度を経年観察しておくのは合理的な行動と言えます。

  • 「認知症」とは、認知機能が低下し、日常生活全般に支障がある状態を言います。その発症には脳の病気や障害など様々な要素が関係しており、原因を特定することが難しい複雑な病気です。ただ、認知症の中でも最も多いと言われるアルツハイマー型認知症は、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきるため、その発症者の脳は多くの場合萎縮していることが知られています。

    下記論文ご参照
    アメリカ衛生国立研究所
    https://www.ninds.nih.gov/health-information/disorders/cerebral-atrophy
    全米トップクラスの病院施設であるCleveland Clinic
    https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/22515-brain-atrophy
    科学誌The Journal of Neuroscience
    https://www.jneurosci.org/content/29/48/15223

  • 一方で、「若年期や中年期に萎縮があった人が将来認知症になるか」については未解明です。20~30年という長い間、同一人物を追いかけたデータが存在しないため、明確な分析が行われていないためです。従って未病の段階において(すなわち、医師による疾病の診断がついていない状態で)、脳の萎縮度をもとに将来の認知症を予測することはできません。

  • しかし、高齢期の萎縮とアルツハイマー型認知症に深い相関がある事実を踏まえると、若年期・中年期から経年で萎縮度を測定し、高齢期になっても脳の萎縮を適度に抑制する努力をすることは、認知症予防を狙う上で合理的な行動だと考えられます

  • 幸いなことに、最近の研究では、脳の萎縮の要因として、高血圧、高血糖、過度の飲酒などがあることが分かってきました。また飲酒をやめることにより萎縮が改善したという報告もあります。このように生活習慣の改善と脳の萎縮の進み方との間に深い相関関係があることが分かってきています。従って、脳全体の萎縮度が平均よりも進んでいる場合は、生活習慣の改善により、さらに萎縮を進行させないように努力することが大切です。