TOPレポートの見方「海馬・扁桃体の萎縮度」とは何ですか?どう捉えたらよいのでしょうか?
最終更新日 : 2023/04/04

「海馬・扁桃体の萎縮度」とは何ですか?どう捉えたらよいのでしょうか?

海馬・扁桃体は、認知機能と関連する大切な構造物です。

※海馬・扁桃体の解析に対応した高解像度のMRIを撮る医療機関で受診した方が対象です。このサービスを提供しているかどうか事前にご確認ください。

海馬・扁桃体の萎縮度とはなにか

  • 海馬と扁桃体は、アルツハイマー型認知症で萎縮することが多いことが知られています。
  • しかし、海馬と偏桃体は個体差が大きいので、脳全体の萎縮度のように、その体積値の大小だけを見て萎縮を論じると誤った結論を導きかねません。たとえ話としては「足のサイズ」のようなもので、ある成人の方の足のサイズが小さいからと言って、健康リスクがあると結論付けることはできません。
  • MVision healthでは、海馬・扁桃体の構造体積と共に、海馬近傍脳室(付近の空洞部分)の拡大の程度を一緒に評価しています。それは、海馬・扁桃体が萎縮をすると、この空洞部分が広がるからです。本レポートでは、海馬・扁桃体の構造体積が小さく、海馬近傍脳室が拡大した場合に、海馬・扁桃体の体積が小さめである、と参考にお伝えしています。
  • 重要なのは経年変化です。仮に海馬・扁桃体が小さくても経年で体積が変わらなければ問題ありません。
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海馬・扁桃体の萎縮度で何が分かるか

  • 上記のとおり、単年での大小評価はあまり意味がありません。経年での体積変化を見て、大きな減少が無いかを確認することが大切です。

  • 海馬・扁桃体を含む「辺縁系」と言われる灰白質は、65歳まではほとんど加齢性変化がない構造物として知られております。

    Bethlehem, R.A.I., Seidlitz, J., White, S.R. et al. Brain charts for the human lifespan. Nature 604, 525–533 (2022). https://doi.org/10.1038/s41586-022-04554-y

  • また、海馬・扁桃体は、65歳以降でも、アルツハイマー病の発症3~5年前から急激に萎縮が進行することが報告されており、MVision healthではこの兆候を捉えることを希望された方に対して、この検査を受け入れる医療機関様限定で海馬・扁桃体の解析を実施しています。

    L. Younes, M. Albert, M.I. Miller, B.R. Team, Inferring changepoint times of medial temporal lobe morphometric change in preclinical Alzheimer's disease, Neuroimage: Clin., 5 (2014), pp. 178-187. https://doi.org/10.1016/j.nicl.2014.04.009

50代以下の方

  • 今の年齢ではこれらの構造における加齢性変化は非常に緩やかです。
  • 初年度は自分の生まれつきの状態を把握する情報としてご理解ください。(加齢性変化が大きくなる60代以降に備えて、基準値を把握する意義があります)

60代以上の方

  • 加齢性変化が大きくなる年齢です。毎年の受診により急速な萎縮の兆候を捉えましょう
  • 経年変化が見られる方は、専門医の相談を受けることも推奨されます。